血液脳関門とは

脳のセキュリティ

私たちの中枢神経系(CNS)、すなわち高度に複雑でかつ繊細な脳と脊髄は、我々の体の機能を制御し、驚くような範囲の活動を遂行しています。私たちは、CNSの働きによって言葉を話すことから初期宇宙の数学的モデルをつくることまで、すべての活動を可能にしています。この組織は、これらの基本的で驚くべき能力を守り健康的な機能を保つために、血液を介して必須栄養素が供給されなければならず老廃物も排出する必要があります。血液の中の化学物質、たんぱく質や細胞は、それらがヒトに安全であるか、健康的な機能に必須であるか否かよらず、血液脳関門(Blood-Brain-Barrier: BBB)と総称される特殊化された細胞の密着結合層によって、CNSに入り込むことを妨げられています。このセキュリティーシステムは、治療薬が脳に入るのを妨害し、BBBから血液内への速やかな排出を促進しているため、CNSの障害や疾患の治療の課題問題となります。一般に、98%を超える低分子化合物が効果を発揮するために十分な高い脳内濃度に到達できないと推定されています。

今日の生物学的薬剤は、いつもの創薬が可能となる分子標的への極めて高い選択性と親和性を実現したことによって、以前は不治であった疾患に対して治療をもたらしました。しかしながら、その表面電荷と大きなサイズによって、抗体やオリゴヌクレオチドのような生物学的製剤がBBBを自由に通過することを妨げています。さらに、これらの抗体やオリゴヌクレオチドは、その極めて大きな治療可能性やCNS疾患の高いアンメットメディカルニーズがあるにもにもかかわらずその有用性が限定になっています。

血液脳関門突破技術

現時点では、中枢神経系全体に対して常に薬剤を送達できるシステムはありません。現在までに最も成功した手段は、低分子化合物の物性(大きさ、分子量、脂溶性など)を調整して、血液脳関門を受動拡散によって透過できる物性を持つ構造に変換することです。不特定物質に対するエンドサイトーシスと同様、血液脳関門を受動拡散で透過できる物性を持った低分子化合物は、末梢組織へも幅広く分布するので、毒性との兼ね合い(バランス)が重要となります。

頭蓋内注射、薬物ウエハの埋め込み、 対流強化輸送といった手法で、脳内局所の有効薬物濃度を上昇させることはできますが、脳にダメージを与える可能性のある侵襲性の高い手術が必要となります。薬剤や超音波で血液脳関門を短時間破綻させる方法もありますが、中枢組織への感染や血液脳関門への長期のダメージといったリスクがあります。

血液脳関門を突破する理想的な薬剤送達システム(DDS)は、送達される活性薬剤本体は何ら修飾することなく、血液脳関門に選択的なリガンドを使って、血液脳関門を標的とするシステムであると考えます。さらに、血液脳関門を通過後に、中枢内の異なる細胞に対して選択的に標的とすることができ、末梢組織への分布を制限できるシステムであれば、DDSの有用性が高まります。たとえば、トランスフェリン、低比重リポたんぱく質、インスリン受容体を標的としたリガンドを用いた受容体のトランスサイトーシスを利用したDDSが開発中であり有効ですが、中枢選択性、中枢内薬剤濃度の増加効率及び末梢での薬剤分布の制限では、ブレイゾン・セラピューティクスの「B-Smarter™」プラットフォームが勝っています。

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